日本学術会議健康・生活科学委員会 生活科学分科会主催 公開講演会「大学の教養教育に 授業科目『生活する力を育てる』を!」

趣旨

豊かな質の高い社会を構築するためには、より多くの人が健康で質の高い生活を送ることが基礎となる。成熟した現在の日本社会では、価値観が多様化しており、画一的な「規範となる生き方」はなく、個人個人が総合的な視野で自分自身がどのような人生を送るかを選択する必要がある。人生を大きく3段階に分けて考えた時、「育てられる時期」、「自立し社会活動をし、次世代を育てる時期(成人期)」、「社会的活動を終え、生きる時期(老齢期)」に分けることが出来る。10代の後半の時期(大学入学時)は、成人期の入り口にあり、これからの人生を見通して自分自身の生き方について考えるべき時期である。健康で健全な豊かな生活(QOLの高い生活)を作り上げていくための生活に関わる諸事を多面的に理解し、自身の生活の場で選択・実践していくことが必要である。また、大学で専門教育を受け、それぞれの分野で専門家として社会活動を行う場合にも、最も基礎となる人間の生活を考えることのできる総合的視点が必要である。

大学への進学率は、既に50%近くなっており、大学での教養教育で学習することは多くの人々に学ぶ機会を提供することになる。

大学進学以前の生活に関する教育は、家庭科として行われており、小学校高学年から始まり、中学校、高等学校で行われている。小学校では、育てられる立場からの理解、中学校では自我の目覚める時期としての理解、高校では自主的に生活を営む立場で教育が行われている。その教育の実態は、広範囲の内容であるにもかかわらず授業数が少ないことなどで十分な効果を上げていない。もう一度、大学教育の初期段階で教育の機会を設けることの効果は大きいと考えられる。

上記の理由により、人間生活に関する最新の知識と情報を提供して生活を理解し、自身の価値観に基づいて自らの生活の選択について考える機会を提供するために、大学の教養教育の中に上記科目を取り入れることを提案したい。

授業内容としては、体と心の変化(生まれてから老年に至る体の変化、心と体の関係、生活の管理と健康など)、人と人との関係(家族関係、社会人としての人との関係など)、社会の仕組みと生活(経済活動、社会保障、家庭経済など)、自然環境と人のくらし(自然環境と子どもの育ち、生活の高度化と自然環境など)、生活上の具体的問題(衣、食、住)など、を取り上げることが考えられる。より充実した質の高い授業内容の構成を考えるために、それぞれの分野の専門家の見解を聞き、最新の情報を得るために数回の講演会を開催する。

対象

生活科学関連の教育・研究者、大学の教務および教養教育の担当者、生活科学を専攻する大学生・大学院生、さらに一般の社会人に広く公開する。

「大学の教養教育に 授業科目『生活する力を育てる』を!」ポスターダウンロード

第1回 公開講演会プログラムの概要

演題 講演者
1.生活機能の性・年齢別変化
-身体教養のススメ-
福永 哲夫 氏
(日本学術会議会員・鹿屋体育大学学長)
2.生活の管理と健康
-成長期からの骨の健康づくりと生活習慣の重要性-
塚原 典子 氏
(日本学術会議連携会員・新潟医療福祉大学准教授)
3.少子化の中の子どもの育ちと親としての経験 無籐 隆 氏
(日本学術会議連携会員・白梅学園大学教授)

4.長寿時代―新しい生活のマネジメント

工藤 由貴子 氏
(文部科学省教科書調査官)

開催日時 平成22年3月4日(木)13:00~16:50
場所 日本学術会議講堂(定員300名)
東京都港区六本木7-22-34 
参加費 無料
事前申し込み 不要
主催 日本学術会議 健康・生活科学委員会生活科学分科会(委員長 片山倫子)
問い合わせ先:katayama@tokyo-kasei.ac.jp
後援 生活科学系コンソーシアム