公開シンポジウム「子育て支援の継続性を高めるために-新たな視点の提案-」

資料をPDFでダウンロードできます。

資料ダウンロード

日本の子育ては、家庭生活の核家族化および多様化が進むにつれて、各家庭の問題に収まらなくなってきています。国としてかねてより取り組んでいる少子化解消に向けた子育て支援は、こうした家庭生活の変容に即して策定されることが肝要でしょう。これまで様々な子育て支援が行われてきましたが、親のストレスは軽減せず、虐待や少子化等の問題は依然として深刻です。支援の対象が要支援家庭に偏っていること、すべての家庭を対象に実施される乳児家庭全戸訪問は生後4か月までと期限が限られていること等にみられるように、日本のこれまでの子育て支援は子育て中のすべての家庭のウェルビーイングを視野に入れたものになっていないことが第一の問題であると考えました。第二の問題は、多くの人にとって学校教育終了後に子育てに関する教育をうける機会が限定されていることです。

そこで、健康・生活科学委員会 家政学分科会は、2023年2月に日本学術会議において公開シンポジウム「子育て支援の継続性を高めるために―新たな視点の提案―」を開催し、児童福祉、小児看護学、家庭科教育、児童学の視点から、問題状況の見え方の違いを提示して議論を行いました。訪問型の支援には看護学と合流する形で家政学の視点を盛り込むことにより、支援の継続性を高め、さらには学際的な有効性を発揮し得ること、また生涯教育として学校教育終了後も子ども・子育てについて学べる機会を創出することについて、各分野から概ね賛同が得られました。この公開シンポジウムで得た知見を踏まえ、報告「継続的で包括的な子育て支援の実現に向けて」を発出した次第です。

主催 日本学術会議健康・生活科学委員会家政学分科会
後援 日本生命科学アカデミー
日時 2023年2月24日(金)13:30~16:40
開催方法 ハイブリッド
参加人数 対面9名、オンライン60名

 

司会 鈴木惠美子 (日本学術会議連携会員、お茶の水女子大学名誉教授)

13:30 開会挨拶 多屋淑子 (日本学術会議連携会員、日本女子大学名誉教授)
13:40 開催趣旨説明 守隨 香 (日本学術会議連携会員、共立女子大学家政学部教授)
14:00 『子育て支援事業の最前線からみえるもの-繋がりとぬくもりの不足-』新澤拓治
(社会福祉法人雲柱社 子育て支援コーディネーター)
14:25 『子育て期の家族のウェルビーイング-予防的子育て支援の重要性-』浅野みどり
(日本学術会議連携会員、名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻教授)
14:50 『すべての人が子育て力をもつために-生涯教育からの提案-』工藤由貴子
(日本学術会議連携会員、和洋女子大学総合研究機構家庭科教育研究所特別研究員)
15:15 『子どもの育ちに還元される子育て支援』田代和美 (和洋女子大学人文学部教授)
15:40 休憩
15:50 全体討議
16:30 閉会挨拶 都築和代 (日本学術会議連携会員、関西大学環境都市工学部教授)